ラバーマウントのモデルは、振動を吸収してくれるっていうのが売りな訳ですが、振動を吸収してくれる反面、身体の方がバイクに慣れてしまい、少しづつ変わって行くバイクの圧縮低下や点火タイミングの狂いによる軽微なノッキングなどを気付かず乗り続けてしまうという言わば諸刃の剣でもありますって事ですね。
よく信号待ちでエンジンが激しく揺れ過ぎて、マウントのどこかが取れてるんじゃないか?とも思わせるバイクもあったりして。
ラバーマウントの折角の売りである「不快な振動の軽減」という事がどっかに行ってしまってます。
本当はラバーマウントだからこそ、その部分に注目し日々のメンテに気を使って欲しい物ですね。
さて、今回のインプレッションは奇しくも、同じ96ダイナを全く相反するする方向でOBがブループリント。
互いに面識も無い2人のオ−ナ−は何れも新車から乗り続けるダイナフリ−クでこれ迄雑誌情報から、湯水の様に予算を導入し、あらゆる事にトライするも満足いく結果には繋がらず相前後してOB を訪ねる。
SKさんの説明によると、ラバ−マウントのエンジンが揺れ過ぎる事自体に問題が潜んでいるので揺れが少なくなれば滑らかなエンジン特性が設定し易く快適に乗るレベルが大幅に高められるとの事。
という事でバランスマスターをフライホイールに導入コース決定ですね。
そしてインプレ当日、丁度今、日本に車の撮影の仕事で来ている元ウエストコーストチョッパーズの専属カメラマンJERAMI JOHNSON.
ディスカバリーチャンネルのモンスターガラージや最近やっと日本でも売り出された、ジェシー・ジェームズのHYSTORY OF CHOPPERもカメラマンをJJが担当してるのでヤツの仕事を目にした人が多い筈。
そのJJも、ハーレーに乗るならダイナに乗りたいと丁度言っているので撮影部隊として引っ張り出しました。
ブルーのカラーが眩しい一台は街乗りから高速ツ−リング迄こなすという事で一般的なスピ−ドパ−ツてんこ盛りでは無く、80" の EV27カム、HSR-42, アルトマン・デジタルIG そしてノ−マルクランクながらバランスマスタ−加工というオーソドックスながらそのストックのエンジンの頂点を目指すという設定仕様。
以前このバイクの慣らしが終わった頃東名で一緒に流す機会があったんですが、こっちが時速160キロ位のいっぱいいっぱい頑張ってる状態で走ってる所を 余裕の笑顔でぶち抜かれて、あまりの違いに悔しささえ感じなかったあのバイクです。
いつものOBテストコースにて走り出すと、取り立ててホットな仕様にカスタムしている訳ではないのに、かなりの加速感にまず驚かされて、しかも昔に感じた掴みどころの無い感覚は殆ど無く、結構ダイレクトにどこ迄も伸びていくスムーズさ。
バランスマスタ−特有の操縦している感覚がクリヤ−になっているのを納得しつつアクセルワークをあえてラフ気味に試みると全くスム−スにエンジン回転が付いて来て、普段乗るナックルには無いパワ−を自在に操る楽しさの片鱗を見れました。
とてもストック排気量とは思えずこれはいい感触です。知らない内に扱い易さも加わってガンガン引っ張りまくってしまい、かなりのスピ−ドになっていました。
ガシガシ、コマネズミの様に渋滞の中を原チャリ感覚ですり抜ける事が出来つつも、かつ本来のハーレーの味も味わえると言ったカスタムの丁度良さ具合に、パーツをポン付けして作った物では決してないと納得。
もう一台はかなりヤバそうな奴で93"ストロ−カ−のトルクモンスタ−で当然のバランスマスタ−加工にキャブはHSR。
マフラ−はジャンクモ−タ−・デッドストックの70年代スタッガ−ド・デュアルで、勿論ワンオフ・ステンレスのエキゾ−ストパイプを贅沢にもOBへ特注!さりげなさを押さえつつ気合いの入った作り込み具合。
そんな訳で、勿論今は失われたREALで心地よいハ−レ−重低音が響き渡ります。
ブレイクインは自分が仕事で海外に出てる間に行なわれたのでその過程は見てないんですが、元付いていたスクリ−ミン・イ−グルカムの低速が弱かったとの事で、急遽SKさんストックのEV38 と云う特殊なカムに変更になったとか。
デコンプが付けられているので簡単にエンジンスタ−ト、ブリッピングでも車体の振動は非常に少なくてラバ−マウントだった事を忘れさせる程少ない揺れに驚き。
発進は意外にもすんなりで先に乗った80" よりもスム−スにスタ−ト出来る。これで排気量もアップされたホットなカスタム具合だとは思えない。しかし一発一発の排気の鼓動感が私の知っているEVOとはまるで別物なのは判る。
また先日、友人の同じ排気量のS&Sストローカーを入れた、リジッド、マグネトー、キックオンリー仕様のハードコアなEVOにも試乗する機会があったんですが、マグネトーONLY キックスタート仕様という事で始動性を考え点火時期が遅めに固定されてるせいもあり、あれ?思ったよりトルクも少なければ、高速の伸びも少ないな。本当にこれが1600ccもあるの?なんて感じたんですが、やっぱり同じ排気量のストローカーでも作り方が違うと全く別物ですね。
こちらの方は言われなければストロ−カ−とは気付かないジェントルな乗り心地。しかし、アクセルを開けると途端に背中を突かれる怒濤の加速が。
勿論、慣らしの真っ最中という事もあり、ストローカーの魅力を感じ得ることができる上の回転の方まで無責任にガンガン引っ張りまくることができないので、慣らしが終わったあとにまた乗ってみたい気持ちに。
この低中速の面白さはSKさんのカムと燃焼室カットに尽きる。そして純正スクリ−ミンE カムは低中速重視と謳っていても所詮USA道路事情から設計されている為高速ツ−リング専用と考えた方が良いと以前SKさんから伺い納得。
そのまま高速まで出て、慣らしのバイクに気遣いながらも色々トライ。
ゆったり、ハーレー本来の味を感じながらドコドコ走るのも良し、いざとなると怒濤の加速を楽しめるってのも良し、先に乗ったライトチューンのダイナのオーナーをして「こんなに違うのかと衝撃を感じた」ってセリフが出てしまうのも納得。
非力なナックルにいつも乗る僕にしてみれば、ストックライトチューンで充分のパワーがあるんじゃないか?とも始めは思ったですが、やはり上を見てしまうと人間、欲にはきりがない物です(笑
形だけのカスタムバイクによくありがちなバイクの性能を一杯一杯使っても全然走らないとか、エンジン関係がカリカリのチューン過ぎて、ものすごく速いけど、乗ってる間中どんな乗り方しても疲れるといった症状が全く無く、使えるレンジがかなり広く乗り手に余裕が出来るチューニング。
結果、乗っててエンジンの鼓動や周りの景色までも楽しむ余裕が充分あるってのはいいですね。いざとなればものすごいパワーも出せる訳だし。
そんなバイクは飛ばさなくても低速時のエンブレでトルクが余っているのを実感出来たりする程、色々なパーツの吟味と組み合わせでここまで持って行けるんだなあって、カタログスペックそのまんまをポン付けでない、熟練メカニックのスキルの冴え具合を目にした一日でした。